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2010年10月10日

<連載>難しい!?ゆかたの移染事故

●<連載>わかりやすい現場の基礎知識より
大阪府クリーニング研究所所長・桑野富夫

バケツや二槽式使用など適切な選択を

201010108menphoto1.jpg(写真:移染部の拡大写真)

 いよいよ秋が訪れ、夏物衣類もクリーニングに出てきているようですね。

 毎年のことですが、浴衣(ゆかた)の移染事故の相談がこの時期には増える傾向にあります。

 町内会などで夏祭り用に作られた浴衣などは、それぞれ独特の柄で作られており、作る数量が限られることから、一点一万数千円の販売価格が付けられています。これらは、柄がプリントされたものが多く洗濯方法や着用によって周囲に滲み出す場合やプリント部分の染料が白場(無地部分)に移染することが多いようですから、移染を防ぐ洗い方や移染したものの修正方法について検討してみましょう。

 移染を防ぐための移染防止剤入り洗剤などがあるようですが、それらはどのような原理で移染を防止するのでしょうか。そのメカニズムを理解して使用するのと理解していない場合では、これら洗剤を使用しても移染が発生した場合の対処に困ります。

 それよりも問題となる移染が起こるタイミングを知ることで、特別な洗剤を使用しなくとも移染を防げる可能性があると思いませんか。

移染を防ぐ洗い方

 移染した衣類の状態を観察すると、擦りつけられたような状態で付着したと思われるものが多いようです。これらの状態になる原因を考えると、脱液時であるとするのが妥当でしょう。

201010108menphoto2.jpg(写真説明:この時期には毎年、浴衣の移染事故の相談が増える傾向に)

 初めて洗う濃色の浴衣の場合などは、洗っている最中から染料が流れ出て水が染まった状態になることがあります。このようになった時は脱水をせず、そのまま流水で流れ出した染料を全て除去すれば移染の心配はありません。

 つまり、濃色で色流れが起こる可能性のある衣類を水洗機で洗うことを選択すること自体が間違いなのです。

 水洗機で全て洗うからプロであると考えているのなら、それは大きな勘違いであるということでしょう。

 また糊付けした場合は、糊によって染料が動きやすい状態となっている場合もあります。このような状態で脱水することで移染する場合もあります。

 プロであるならば、衣類それぞれの状態を見極めて、バケツや二槽式家庭用洗濯機を用いるなどの選択が出来ることが必要です。

移染した際の除去方法

 思わぬ移染事故が発生したり、家庭洗濯での移染の修復依頼があった場合に、皆さんはどのような方法で処理されるでしょうか。

 代表的な処理方法としては、高温水とアルカリ、洗剤の併用による移染除去が一般的でしょうか。また、これらに続いて高温水と塩素系漂白剤やハイドロサルファイトを用いる処理方法があると思います。

 以上の処理方法は、移染箇所のみならず、全体の染料も除去することになり、全体が脱色する可能性が高い処理方法であると言えます。

 しかし染料の繊維に対する定着のメカニズムや漂白剤を分散させる洗剤の機能などを理解して適切な薬剤を使用すると、40℃程度の温水を使用し移染を除去することが可能となります。

 移染除去の基本は、単品を処理し、その変化の状態を目だけでなく、手も使って全体の状態を把握しながら行うことでしょう。そのためにも、高温処理は避けるべきでしょう。40℃程度では移染が除去できないとか、大量の塩素系漂白剤やハイドロサルファイトを使用しないと移染は除去できないと思っている方は、洗剤の持つ作用や染料に影響を与えることができる薬剤のことを少し学ばれると、より安全で効果的な移染除去ができると思います。

家庭での移染

 最近では家庭洗濯が増え、家庭での移染も増えています。これらは消費者が酸素系漂白剤で漂白を試みたりした後でクリーニングを依頼される場合が多いでしょう。

 家庭用洗剤には、低温洗浄の性能を向上させるために様々な助剤などが使用されているようで、移染が発生した場合の除去が難しい場合が多いですね。このような場合には、高温処理でも、漂白剤などでも容易に除去できません。このような場合は、染料が助剤等と反応し油性の部分が強くなっている場合があり、特殊な処理を必要とします。

 預かり前にお客様の了解を得ておいて下さい。

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