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2006年08月07日
[第1話]意外でしたね。
意外でしたね。
クリーニング屋さんがトヨタ方式に取り組むとは。
数年前になりますか、始めてクリーニング業界の方が私共のところへ来られたのですが、その時「トヨタ方式」をクリーニングでやって、非常に業績が回復してきた、良くなったという話しを聞いて、私もちょっとびっくりしたんです。前々から私自身も、「トヨタ方式というのは、中小企業向けのものの作り方なんだ」、あるいは「業種は問わんのだ」などということを常々言っておったんですが、実際にやれるかどうかは、まあ正直わからんかったですからね(笑)。
それともうひとつびっくりしたのは、クリーニングの皆さんは、同業者どうしで一生懸命勉強して、お互いの業績をあげようとしておられるんですね。普通まあこういうことをやるというと、大抵「同業者には内緒にしてもらいたい」というようなことがあるんですが、このような話しは初めてだったんです。こっちとしても「変った業種だなあ」と(笑)。
日本人というのはやっぱり競争心が強いんでね。しかも互いに、全体として仕事が減っておる中で、普通なら「なんとか他を押さえても、自分のところは良くしよう」となるんですが、その減っていく仕事の中で同業者どうしで利益をあげ、企業を良くしていこうと考えられるというのは、非常に敬服しておるんです。
自動車で言いますと、トヨタ、日産なんていうのはもう、昔から一生懸命競争しておるんでね。「日産がこういうのを出しておる」というと、「じゃあ、うちも出さにゃならん」ちなある。「日産がいくら売っておる」というと、「うちもいくらで売らにゃいかん」とかね。シェアの競争ですよ。
で、よそより優位に立とうということで、お互いがそれぞれ生産性を上げる勉強しといて、実際にはかえってお客さんに値段をたたかれる、なんていうことが非常に多いんじゃないんでしょうか。
で、その時来られた皆さんが、クリーニング業界に「トヨタ方式」を広めたいということで、その後「クリーン忍術心得帖」という良い本を出されましたが、伊賀上野でやっておられる葛原さんや甲賀の方でやっておられる桔梗屋さんが一緒に来られた時に、「こりゃあもう忍者の故郷じゃないか、伊賀・甲賀といえば忍者の発祥の地じゃないか」ということになって、本のタイトルも「忍術」ってつけたらええぞ、というようなことを言っておったんですが。
その本が出版されて何冊かもらったもんですから、ウチの会社の連中にも「良く読んどけ」っていって渡したんですが、マンガが多いせいか「こんな物」と思ったのかバカにして読もうとせんのですね。ですから「マンガと思ってバカにしとるかもしれんけど、お前んとこの現場はあのマンガに書いてある『金太郎飴』のように、いつも一定に物ができるような作り方ができとるのか」って言ったんですけれども。
それから忍術ということでいうと、私は以前から、まあ本場の人に言わしちゃどうか分かりませんが、この忍術というものに非常に興味をもっておりましてね。
で、この「忍術」の「術」という字は本当にうまくできておって、「行う」という字の中に「求める」という字が入っておる。つまり実行が要求されておるんだ、理屈じゃない、議論じゃないんだ、やるっていうことが一番大事なんだということなんですね。
この「トヨタ方式」ということでいうと、何でも反対のことをやる。これを議論のタネにしかすぎんのでしょうが、我々のやっておるのはこの「術」なんだと、「やってみなきゃ何も分からんのだ」ということでやっておるのです。ですから、この「術」ということが、非常に大事になってくる。
それから「行う」ということも、実行するとか行動するとかいうように解釈できるし、これが段々厳しいものになってくると「行を積む」という時の「行」というようになる。この「行」が要求されるようになると、これは一人前じゃないでしょうか。
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