HOME >> 大野耐一かく語りき >> [最終話]決められた『パイ』の中で
2006年08月07日
[最終話]決められた『パイ』の中で
決められた『パイ』の中で、
いかに手堅く儲けるか。
これが一番大事なことです。
最後に企業の体質ということで言うと、どんな企業でも大きくふくらんでいるうちはいいんたけども、いっぺんふくらんでそれ以上行ってから、今度はちょっとそれが減るというと大騒ぎせにゃならんという体質というか体力の企業が、日本には多いんじゃないでしょうか。
昔の外国のことわざで「パイは小人数で分けた方が分け前は多くなるぞ」と、五人よりは四人で分けた方が一人当りの取り分が多いぞ、というのがあったんですが、日本じゃこれを変なふうに変えてしまった。昭和三十年ごろ、日本が高度経済成長で伸びておった時に、「大勢おるんなら、パイを大きくすりゃいい」なんて変なことをわざと言い出す人間がおってね。パイを大きくすりゃ分け前はたくさんもらえるんだと、つまり売上さえ増やせば会社は良くなるなんていう悪い考え方に右へならえする経営者が多くなった。そのため今でも「もうパイは大きくならんぞ」と、「パイが小さくなったときはどうするんだ」と考えない経営者が、日本でも外国でもほとんどだと思います。
だから最近のように世界的に、需要に対して供給能力が大きくなっちゃうというと、もうパイは大きくすることができんのに、今度は同業者どうしで市場を争ったり、お互いに一所懸命やっては、結果的にどっちもあんまり儲からんということになってきた。
それから、今までの半分の人数で倍ぐらいできるような機械が開発されるというと、作る方はどんどん作るんだけども、消費する方はそんなにあったってしょうがないので、「安くないと買ってやらんぞ」なんていうことになる。こんなことやっとっちゃ儲からんのでね。買う方はいいかもしれんが、メーカーはお金使って新鋭機買って、でき過ぎて売れないほど作り過ぎてしまう。で、お金をまわしてもらわんと困るので、半価でも売るよりしょうがない、あるいは原価切っててでも金まわりのために換金せんならん、なんてつまらんことをやっておるんです。
こういった点皆さん方は同業者で、もうパイは大きくならんという前提で「トヨタ方式」を勉強されておるということに、私はある意味じゃ非常に感心しておるんです。どこの業界もこういうふうにやってくれたら、もっと皆が良くなってくれると思うんですけども。
一時ICなんていうのは、いくら作っても足らんので宝石と同じ値段だ、なんて言っておった。「五年や十年は心配いりません」なんていうメーカーもあったんですが、それから三年もせんうちに、今ではICもジャンジャンできるようになって、かえって値下がりしておる。というようなことから、あまり一時的なことだけにこだわってやるというのは、お互いつまらんことになるんじゃないでしょうか。
ですから、もうパイの大ききで狙うんではなくて、この大きさというのは決まっておるのだと考えて、じゃあその決められた大きさの中でどうやって手堅く儲けていくかということを考え実行するのが、今後大切なことではないでしょうか。そういう意味でも私は、クリーニング業者の方に他の業種の先鞭をつけてもらうといいんじゃないかと思います。
おわり
「」の関連ブログを読む
「」の 関連エントリーはありません
このブログは、トラックバック大歓迎!がポリシーです。
トラックバックを受け取られた方のサイトは全て訪問し「blogランキング」への投票も行っています。もし、ご迷惑となりましたら削除してください。トラバ返しは大歓迎です!
« 前の記事「[最終話]決められた『パイ』の中で」へ
次の記事「[最終話]決められた『パイ』の中で」へ »
トップページへ戻る
【大野耐一かく語りきの最新記事】
005大野耐一かく語りき ・[最終話]決められた『パイ』の中でトラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.zendora.co.jp/mt/mt-tb.cgi/472
|話題のニュース |全ドラ新聞・主張 |全ドラ新聞・旬刊寸評 |全ドラ新聞・主幹余話 |全ドラ新聞・取材余話 |大野耐一かく語りき |クリーニング随筆「洗い放談」 |レビ・ラジオ・雑誌
