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2006年08月06日
vol.12「ズボンとスラックス」
洗い放談
「ズボンとスラックス」
このあいだ、東京のあるスリーM店(古い業者)の店先きで、お客とそこの従業員とが言い争っている風景に接した。聞いてみるとおなじ衣服を出しながら三十円も料金が前とこんどで違っていたという。客が帰ってわかったことだが、受けつけた従業員が違っていたため、そのクリーニング物の名林が異なり、そのために料金が違っていたわけだ。これならこの店にかぎらずほかの店でも起こりうる間違いである。
早い話がである。ズボンとスラックスだって、同しようであり、同じとはいえないシロモノである。だいたいズボンというのは、日本語であって、世界のどこにも通用しないことばである。似たようなことばにフランス語に「ジュボン」というのがある。これはズボンのもうひとつ下にはくもののことである。ズボンのことならフランス語では「パンタロン」という。
このズボンとスラックスの区別であるが、学研発行の大百科事典によると スラックス=元来はスポーティなズボンや替えズボンをさしたが、現在ではズボン全体をさす。しかしわが国では主として婦人服用語としている。 ズボン=腰部から脚部をおおう洋服で、主として男子用をさす。わが国独得の名称である。
また講談社発行のホームライフによると スラックス=男女ともに用いるゆったりとしたスポーツ用のズボンのことである。 ズボン=おもに男子が着用する。腰から下の部分を包むもので両足を別々にはくものである。
このほかいろいろ辞典をひいてみると、スラックスは家庭着やスポーツ着として婦人が主として用いたので、男子がはくものをズボンといい、女子がはくものをスラックスということに落ちついたらしい。
またあるデザイナーはスラックスは横に開閉部分があるし、ズボンは前にあるという。まことにうがった話だな、と一応は思った。
ところが、週刊誌を読んでいたら上野あたりのキャバレーで全員スラックスをはいている店がある。ここのスラックスはズボン式にまん前にチャックがついており、五百円ぐらいチップをやると「では十分間だけね」とチャックをあける。むろん素はだにスラツタスだから「どうぞご自由に遊ばせ」ということだそうだ。
これはケース・バイ・ケースにしても、横開きがスラックスの定義だとするのもおかしい。
ズボンとスラックス一つをとりあげても、こんなにややこしいのであるから、お客の持ちこんだ品物をどう区分するかは「見解統一」をしておかないと、客から料金面で苦情がでるのも、ごもっとも千万である。
著作:全国ドライ新聞社
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