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2006年08月06日
vol.18「経営者の女あそび」
洗い放談
「経営者の女あそび」
神戸のH社社長は全社を見学にくる同業者に、わかれのことばとして、こういうふうに言う。
クリーニング業ほどいい商売はありません。みなさん、これとこれに深入りしないように気をつけてくださいよ。と指で輪(盃)をえがき、また女性の恥部を表現するコブシをつき出す。見学者一行はニヤニヤしながらも意を強くして帰途につく。
この社長がいうまでもなく、クリーニング屋さんの会合は、総会などはつけたりで、よく飲み、よく打ち、よく遊び、まともにねるものは、変人かからだが弱いか、といった感じを受けることがある。 レジャー業者にいわせると、最も行儀の悪いのは学校の先生とボウズだという。このことは平素がいかに謹厳で、その反動として、こうなるともいえる。
この筆法だと、クリーニング業者が、平素いかに真面目で、働きものであるかの証拠でもある。しかし、若い業者もふえてきたことだし、ある程度の節度がないと、「ああいう調子だから、二十年三十年とこの業に骨折りながら、大きくならんのだな」と、軽く見られるおそれがある。こうなったら「お前ら若いもんになにがわかるか」と、いってみても、なんの権威も力もない。
経営者といえば、三チャンも、十人も、二十人もない。いずれも責任者、指導者である。といって、完全無欠とはいかない。長所もあれば短所もあり、パチンコもやれば、酒も飲む。スタミナさえあれば女遊びもやろうというもんだ。
しかしである。これが経営にマイナスになるようなやりかたなら完全に邪道にはいっている。少なくとも経営者としての分限をはみ出している。
世間には全力をふりしぼって事業を育ててきながら酒や女にいれあげて、ついに一巻の終わりという経営者もある。
これは全国主要都市に支店をもっている、ある大全社の社長である。歳は六十九歳であるが大の女好き。支店回りをしているのか女遊びをして回っているのかわからないぐらいである。 それでも社業はスイスイと伸びていく。もとより社長の女遊びが経営を傾けるといったことはさらさらない。この社長の支店での訓示がふるっている。
ワシがこの歳になって女のところに行くのは元気オウ盛ということじゃ。ワシより若い諸君にヘタバルということはない。業績を上げるよう努力してくれ。
それからワシの女遊びは会社の金でやっておるのではない。ワシの財布を見ろ、きのうよりだいぶ軽くなったわい。(爆笑)みんな努力して貯金しろ。ワシの遊ぶ金は五十年間の貯金のおかげしゃ。遊びたかったら貯金しろ。それから当社には若い女性が多いが男たちはみんな助平であるということが、わしを見てよくわかったと思う。(クスクス笑う)支店長も助平じゃ。そこにいる販売課長も助平じゃ。店内でマチガイを起こさぬよう気をつけるんじゃよ。そこで男の諸君。助平といわれて気にするな。助平でないやつは仕事もできんのじゃょ。女遊びがしたかったら、その前によく働け。これはワシの方針じゃ。まことに楽しい訓示である。歳をとらねば、いかなるワンマン社長でもこうは言えまい。それにしてもこの話は、経営者たるものの女遊びのありかたを、端的によく教えている。「公私を混同するな、羽目をはずすな」である。
(註)社長の訓示はルポライターの八田利男氏が書いた一文を借用した。
著作:全国ドライ新聞社
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