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2006年08月06日
vol.1「まえがき」
洗い放談
「まえがき」
小山さんが、生前、全国ドライ新聞に連載した「ずい筆随談」が、こんど一冊の本にまとめられて出版されると聞いて、たいへん結構なことだと思います。
じつは私は、小山さんとは、個人的には、それほど深いおつき合いはありませんでした。というのは、小山さんという人は、タバコは、だいぶ好きなようでしたが、酒はたしなまなかったので、飲んで、お互いに管をまいたり、メートルをあげたり、という機会はなかったのです。
尤も、私は、業界人としては最も年をとっているので、業界の指導や会合その他で、ひどく多忙でもあったのですが、時折りは、そうした会合での、おつき合いはありましたので、およそその人柄も知っていました。
それで今頃小山さんの本が出るのについては、今さらのように懐かしい思いが湧くわけです。
当時、書かれたものを四つ五つ改めて読んでみると、「太平洋戦争」が出てくるかと思うと、景品の話が出てきたりする。そしてしまいは業界の話しになる。いま読んでもなかなか面白いし、よく書けていると思います。
そもそも小山さんという人を知ったのは、いつごろだったか、年月日がハッキリしませんが、今は故人になっている愛知の山田理一君が、ある日、私のところへやってきた。そして、「赤羽さん、変わった人が現われた……」というので、よく聞いてみると「もと東京の五大紙のうちの一社の記者をしていた人だが、これが、クリーニングの業界新聞を出したいのだが・・・と言ってきた」というのです。私はそれで、「それは、けっこうなことじゃないか。ところで小山さんというのは、どんな人か」と聞いてみると「富山の生まれで、東京の大新聞の記者をしていたが、満州日日新聞へ行き、終戦で引揚げてきた。そしてからだをわるくしたので、故郷へ帰って、業界新開を出したい、ということらしい」という話なので「山田君、それはいいチャンスだ。だいたいクリーニング業界というところは、ロや言葉ばかりではダメで、従業員にも、書かれたものをよく読ませて向上をはからなければ、業界の発展は望めないのだから、業界紙が出るのなら、それは、大いに応援して・・・」と言っておいた。
さらに私としては、いきなり全国紙というのはたいへんだろうから、まず北陸を地盤にして、業界紙を出したらよいのではないか」とも言った。
小山さんも、そのうちに北陸クリーニング新聞を出した。それが業界との縁の始まりだろうと思います。 そのうちに、東京の自家ドライ協会へ行って、それから東京でも新聞を出されるようになったようです。
それについても、私は「全国的な新聞を出すという理想はたいへん良いことだが、いくら新聞社でも、収支がつぐなわなければならないと思う。それには先ず手近なところで、経済的にも比較的めぐまれている所に取りつくべきではないか。全連のほうにも、もちろん来てほしいが、まず自家ドライ協会あたりがよいのではないか」といったようなアドバイスもした、と覚えています。
そんなこともあって、小山さんは、とにかく、だんだん新聞を大きく成長させてゆかれたようで、私も蔭ながら喜び、また応援もしたものです。
とにかく、よくやった人でした。私も若いときからよく動くほうだったが、小山さんも、よく動いた。良い意味での 「口八丁、手八丁」の人でした。
私は幸いにも、八十五歳の今年も、正月には渋谷の家から明治神宮まで歩いて参拝したほど健康に恵まれていますが、小山さんのような人に天は寿命を与えず五十六歳で亡くなったことは、業界のためにもたいへん残念なことだと思います。
しかしながら、その書かれたものが、こうして本になって世に残るということでは、恵まれた人と言えるかもしれません。
「虎死して皮を残し、人は死して名を残す」といいますが小山さんは本を二冊残された。
昭和四十九年一月 赤羽長一郎(全国クリーニング環境衛生組合連合会名誉会長)
著作:全国ドライ新聞社
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