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2006年08月06日

vol.8「スリーM店とコイン店」

洗い放談
「スリーM店とコイン店」


 昨年の正月、筆者はスリーM店という業界用語を新造した。以来ちょうど一年、今ではこのことばもどうやら業界に活着した。
 ところで、スリーM店もコイン店も、ドライ機を店頭におくことでは、どちらもおなじことだ。違うのはコイン店は清涼飲料や国鉄・私鉄の切符を売るコイン機のように、客が勝手に繰作するのにたいし、スリーMは客に機械を使 しかし現状のスリーM店がトントン拍子に繁盛一路とはいきかねる。

 なぜならスリーM店の多くは料金競争にあくせくして、技術競争に熱意の欠けるうらみがある。そしてだんだんこれまでのクリーニング店のように、PRをしない、処理に時間がかせる、白物も扱う、配達もするでスリーM店としての特色を失いつつある。
 つまりコイン店とは遠ざかったが、自営ドライ業者には近づいてきた。果たしてスリーM店にそういう宿命があるのか。それともスリーM店だけがもつ真価発揮に、経営者が怠慢になってきたのか。
 機械と技術によるあざやかな処理、しかも待ったなし。小人数でやれる持ちこみ本位。そして客に持ちこみへのお駄賃を出し、業者も前金の面白味をたんのうできる前金制。この経営法をどこまでも消費者が買ってくれる努力を惜しむのならスリーM店もやがて、色あせしなびてくるだろう。
 業界の近代化にまことに、ふさわしいスリーM経営だと思い、敢てこの新語をつくり、奨励につとめてきたが、名を残し実を失いそうな傾向の増大は、名づけ親として、近ごろ一まつのさびしさを禁じえないわせないことである。
 わが国の現状ではまだまだスリーM店のほうが客に魅力がある。といってコイン店もさびれてはいない。東京の赤羽団地などは、ある機関紙が閉鎖したなどとデマを飛ばしたが、結構固定客をつかんで繁盛している。
 あるいは新聞、雑誌のPRで消費者のドライ知識ができてくると、コイン店が今よりも強くなってくる時期がこないともかぎらない。
 ただそこに至るのに、ひとつブ厚いカベがある。それは日本女性は、洗うことが好きなのに、アイロンを使って仕上げることがあまり好きでなく、それにじょうずでないことだ。
その点、欧米の女性はあべこべだといわれる。これはなんでも、くたくたとにつめて洗う向うの習慣が洗うのをおっくうがることからきているのかもしれない。
 むろんこれは、日本もあちらもランドリーの話だがドライにも影響している。だから日本女性がアイロン仕上げに上達してこないかぎり、洗いも仕上げも業者任せというスリーMのほうに市場性があるといってよい。
 近ごろ集団生活用にドライ機の八ポンドを売ろうと計画している商社があると日本工業新聞は報じた。ほんとうにそうならこれは業界にとって大問題だ。
 だがこれも冷静に考えると、洗うだけでは到底満足できぬドライ物とあっては集団生活用に売ろうとする着想はよいが、やはり現実にはひっかかりがある。
 してみると、洗いと仕上げを持ちこみ、前金、待ったなしでやるスリーM店が日本的にドンピシャリである。

著作:全国ドライ新聞社

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